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中小企業のAI活用、何から始める?ツール選びより先に行う「7日間の業務棚卸し」

2026.09.04 2026.09.04

こんにちは。株式会社inadog代表の稲田敦です。

この記事の結論

  1. 最初に選ぶべきなのは、AIツールではありません。
  2. 7日間だけ、仕事を4項目で記録します。
  3. AIに任せる仕事は、最初は一つだけ選びます。
経営者の机に散らばった「探す・転記・確認・待つ」の仕事をAIが整理し、最後に人が確認して決める様子の図解
散らばった仕事をAIが整理し、最後は人が確認して決める

「AIを仕事に使ってみたい。でも、何から始めればいいのか分からない」

「ChatGPTは触ったことがあるけれど、実際の仕事ではうまく使えていない」

このように感じている中小企業の経営者や個人事業主の方は、少なくないと思います。

新しいAIサービスは次々に登場します。文章を作るAI、画像を作るAI、動画を作るAI、会議をまとめるAI。便利そうなものが多すぎて、どれを選べばよいのか迷ってしまいます。

けれど、私が自分の会社でAI活用を続けてきて感じているのは、最初に選ぶべきなのはAIツールではないということです。

最初に行うべきなのは、自分が毎日どんな仕事をしていて、その仕事にどれだけ時間がかかっているのかを知ることです。

そこで今回は、AIを導入する前に行いたい「7日間の業務棚卸し」を紹介します。

私の仕事は、1本約6時間から約70分になりました

株式会社inadogの実績(動画1本あたりの本人作業)

以前約6時間 現在約70分

月30本の場合の概算 約180時間 → 約35時間 月約145時間の短縮

数字は株式会社inadogにおける代表本人の実績で、概算です。業務の内容やAIの使い方によって結果は変わるため、同じ効果を保証するものではありません。

まず、株式会社inadogで実際に起きた変化をお話しします。

弊社では、歴史系のYouTubeチャンネルを運営しています。以前は、動画を1本作って公開準備まで進めるために、私自身の作業時間が正味で約6時間かかっていました。

企画を考え、原稿を準備し、画像や動画編集の工程を管理し、間違いがないか確認し、投稿できる状態に整える。動画を一本作るまでには、表からは見えにくいたくさんの仕事があります。

現在は、AIと役割を分けながら工程を作り直し、私自身の作業時間は1本あたり約70分になりました。

月に30本を作る場合の概算では、以前は約180時間必要だった本人作業が約35時間となり、月約145時間を短縮した計算になります。

これは、AIのボタンを一つ押したら、すべてが自動で完成したという話ではありません。

AIには、原稿・画像・動画編集の準備、作業の整理、複数の観点からの検品などを担当させています。一方、テーマを決めること、史実や品質を最終確認すること、実際に公開してよいか判断することは、人が担当します。

以前は本人作業が約6時間、現在は約70分。AIが原稿・画像・編集の準備と検品を担当し、人がテーマ決定・最終確認・公開判断を担当する工程図
以前と現在の工程。AIが準備し、人が確認して決める(株式会社inadog本人の実績・概算)

AIが準備し、人が責任を持って決める。

この役割分担を作れたことが、時間短縮につながりました。

なお、ここで紹介した数字は、株式会社inadogにおける私本人の実績です。業務の内容やAIの使い方によって結果は変わるため、同じ効果を保証するものではありません。

なぜ、AIツール選びから始めないのか

AI活用というと、「どのAIが一番優秀ですか」「有料版へ入った方がいいですか」といった話から始まりがちです。

もちろん、道具選びも必要です。しかし、先に道具を決めると、そのAIでできることへ仕事を無理に合わせてしまうことがあります。

先に確認したいのは、次のような仕事です。

  • 毎週、毎月、繰り返している仕事
  • 過去の資料やメールを探す時間が長い仕事
  • 同じ内容を別の書式へ何度も転記している仕事
  • 文章の下書きや要約に時間がかかる仕事
  • 間違いがないか何度も確認している仕事
  • 社長や特定の担当者のところで作業が集中している仕事

こうした具体的な仕事が分かってから、「この部分ならAIが手伝えるのではないか」と考えます。

AIを使うことが目的ではありません。今の仕事を少し楽にし、短縮できた時間を、お客様への対応や品質の確認、新しい仕事の準備へ使うことが目的です。

7日間、仕事を4項目で記録する

業務棚卸しと聞くと、大がかりな表や立派な日報が必要だと思うかもしれません。

最初は、そこまで細かくしなくて大丈夫です。7日間だけ、仕事を一つ終えるたびに次の4項目を記録します。

1日目から7日目まで、仕事を一つ終えるたびに、やった仕事・かかった時間・何に困ったか・AIに手伝ってほしいことの4項目を1行ずつ書くノートの図解
7日間、仕事を一つ終えるたびに4項目を1行ずつ書く
7日間の業務棚卸しで記録する4項目と記入例
記録すること 記入例
やった仕事 打ち合わせ後のお客様への連絡
かかった時間 25分
何に困ったか 過去の約束を探すのに時間がかかった
AIに手伝ってほしいこと 過去の記録から返信案と次のToDoを整理してほしい

正確に1分単位で測る必要はありません。まずは10分、30分、1時間といった概算で構いません。

大切なのは、作業時間だけでなく、次のような「見えにくい時間」も残すことです。

  • 何から始めるか迷った時間
  • 必要な資料を探した時間
  • 相手に合わせて言葉を考えた時間
  • 間違いが心配で確認を繰り返した時間
  • 他の人からの返事を待ち、再開時に思い出した時間

経営者の忙しさは、目に見える作業だけでできているわけではありません。こうした小さな負担を記録すると、AIを役立てられる場所が見つけやすくなります。

すべてではなく、一つの仕事だけを選ぶ

7日分の記録ができても、全部を一度にAI化しようとしないでください。

最初に選ぶのは、一つの仕事だけです。次の4つを目安にします。

1繰り返し発生しているか

一度しか行わない仕事より、毎週・毎月繰り返す仕事の方が、やり方を整える意味があります。

2準備や確認に時間がかかっているか

資料探し、転記、下書き、要約など、一定の型がある作業はAIが手伝いやすい候補です。

3人が最終確認できるか

AIは間違えることがあります。まずは、AIの出力を人が確認でき、失敗してもすぐ元へ戻せる仕事から試します。

4生まれた時間を何に使うか

短縮できる時間が大きいだけで決めるのではなく、その時間をお客様対応、品質確認、営業、勉強などへ使えるかも考えます。

AIに任せる仕事と、人が決める仕事を分ける

業務棚卸しでは、「AIに何を任せるか」だけでなく、「人が何を持ち続けるか」も書いておくことが重要です。

準備AIが手伝いやすい仕事

例えば、AIが手伝いやすいのは次のような準備です。

  • 会議記録から、決定事項とToDoを整理する
  • 過去の資料をもとに、文章の下書きを作る
  • 複数の案件から、今日やることを整理する
  • 長い資料の要点を抜き出す
  • 公開前の文章や制作物に、抜けや矛盾がないか確認する

最終判断人が責任を持って決める仕事

一方、次のような行為は、人が責任を持って判断する必要があります。

  • お客様や取引先へ実際に送信する
  • 料金や契約条件を決める
  • 支払い、検収、評価を確定する
  • ホームページやSNSへ公開する
  • 相手との関係を踏まえて最終判断する
AIが準備し、人が確認し、人が決めてから送信・公開へ進む流れの図解。送信・契約・支払い・公開は人の判断のあとにだけ行う
AIが準備し、人が確認して決める。送信・契約・支払い・公開は、人の判断のあとにだけ進む

AIへ丸投げするのではなく、AIに準備を任せ、人が確認して決める。この線引きがあるからこそ、仕事で安心して使い続けられます。

まず今日、3つの仕事だけ書いてみてください

最初から7日分を完璧に記録しようとすると、続かないことがあります。

まずは今日行った仕事を3つだけ、紙やメモへ書いてみてください。

今日書くのは、この3つだけ

  1. 今日やった仕事、その1
  2. 今日やった仕事、その2
  3. 今日やった仕事、その3

それぞれに「やった仕事」「かかった時間」「何に困ったか」「AIに手伝ってほしいこと」を一行ずつ添えれば十分です。

「繰り返している仕事」「探す時間が長い仕事」「AIに準備を任せられそうな仕事」が一つでも見つかれば、AI活用の入口として十分です。

株式会社inadogでは、AIの機能を増やすことよりも、実際の仕事で使える状態を作ることを大切にしています。

何をAIに任せればよいか分からない方は、現在のお仕事から一緒に整理します。

無理にAIを導入するのではなく、本当に役に立つ場所があるかどうかから考えていきましょう。

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